こんにちは! あなたは、ジブリ映画の「おもひでぽろぽろ」はご覧になりましたか?

ジブリ映画と言えば、宮崎駿監督の作品が思い浮かびますが、「おもひでぽろぽろ」作品もジブリ作品の一つです。この映画の監督は、高畑勲監督です。 宮崎駿監督はこの映画で、制作プロデューサーとして関わっています。 この作品で、宮崎駿監督は、「アニメ化するには難解な原作で、高畑勲しか監督できない」とジブリに話したそうです。

ノスタルジック満載の「おもひでぽろぽろ」のあらすじ

この映画は、東京で働く27歳のOL、岡島タエ子が主人公です。 1982年の夏、タエ子は会社から10日間の休暇を取り、姉のナナ子の夫の親戚が暮らす山形県の田舎町、高瀬へ旅をします。この高瀬という地域は実際に実在する地域だそうです。 東京生まれの東京育ちだったタエ子には、子供の頃から田舎への憧れがありました。

夜行列車に乗り込み山形へ向かう中、タエ子は自分が小学5年生の時のことを思い出し始めます。その思い出の中には、家族全員で喜んだパイナップルの酸っぱさにガッカリしたことや、クラスメイトで野球の上手な広田くんに恋をしたことなどが蘇ります。そんな感傷に浸っていると、突然タエ子の前に小学5年生のタエ子が現れ、タエ子は幼い頃の自分を連れて、山形に降り立ったのでした。

山形に着くと、姉のナナ子の旦那・カズオの親戚であるトシオが駅まで出迎えに来てくれていました。トシオはタエ子より2才年下で、元サラリーマンでしたが、今は有機農業を営んでいる好青年です。田舎に着いたタエ子は10日間、農作業を手伝わせてもらうことになってます。朝早くからのベニ花摘みやきゅうりの収穫などをすることで、タエ子は次第に田舎の生活に惹かれていきます。

また、タエ子とトシオは二人で出かけてお互いにいろんな話をしたりと、少しずつ二人は近づき始めます。 しかし、タエ子が東京に戻る前夜、世話になったおばあちゃんからトシオの嫁になってほしいと言われ、そのまま家を飛び出してしまいます。

そして、行くあてもないタエ子を迎えに来てくれたのはトシオでした。 翌日、東京に帰る日。お世話になった人に別れを告げて、東京に戻るべくトシオの車で駅に向かいます。列車に乗り込んだものの、このまま東京へ戻っていいのか迷う彼女の背中を、小学5年生のタエ子が後押しします。

とまぁ、細かく書いていきました。 なんてことない普通に見られる一般の人の生活光景じゃないか、って思えてきます。

この映画の見どころ

やっぱり映画にするだけの価値がある映画と、私は感じます。 映画でないと感じられない、奥深さが感じられる映画です。 人の心の繊細な部分を、とても上手に描けています。 私的に思ったのですが、この映画って、日本人の繊細な感情を言葉にすることなく、感覚的に訴えかけていて、果たして外国人はこの映画を観て、感じるものってあるのだろうかと思いました。

こんな風に書くと、外国の方に怒られるかもしれませんが。というのは、日本人は、「虫の鳴く声」は聞こえるのだそうですが、外国人には、「虫の鳴く声」は全く聞こえないのだそうです。日本人、外国人、例え同じ場所にいても、日本人には「虫の鳴く声」は聴こえても、外国人には「虫の鳴く声」が聴こえることはなく、雑音しか聞こえないのだそう。

音の聴こえるか聴こえないかの問題ではないのですが、そういった、風情を感じる感覚的なものが、外国人の方には備わってないらしく、それを思い出し、この映画から感じられる感覚も、もしかしたら感じ取ることは難しいのかな?って思いました。

繊細な外国人の方はこの映画を観て感じるものもあるかもしれません。 日本で公開されるからこそ、日本人の心に訴えかけ、日本人の心の琴選に触れるものがあるような気がします。 長くなりましたが、見どころは、主人公のタエ子が自身の小5の頃の自分をリアルに思い出し、客観的に見ているところです。

ここは、観ている人の心にもグイグイ刺さってきます。似たようなところが、自身にもあるからです。そこから大人のタエ子自身が、子どもの頃の自身の気持ちを汲み取っていき、それらの気持ちを統合させていく所が見どころです。 また、映画で取り入れている音楽もとても素晴らしい曲です。


都はるみ「愛は花 きみはその種」

やさしさを 押し流す 愛 それは川 魂を 切り裂く 愛 それはナイフ とめどない 渇きが 愛だと いうけれど 愛は花 生命の花 きみは その種子  

挫けるのを恐れて 躍らない きみのこころ 醒めるのを 恐れて チャンス逃す きみの夢 奪われるのが 嫌さに 与えない こころ 死ぬのを 恐れて 生きることが できない

長い夜 ただひとり 遠い道 ただひとり 愛なんて 来やしない そう 思うときには 思い出してごらん 冬 雪に 埋もれていても 種子は春 おひさまの 愛で 花開く

素敵な歌詞ですよね。 歌詞を眺めているだけでもじわっとなります。
この曲は『THE ROSE』という曲が日本語になったものです。

この映画が日本人の感情に訴える理由

この記事を書きながら、映画のことを思い出し、なぜこんなにも感情に訴えるのかが、何となく分かった気がします。 子どもの頃を思い出したタエ子は、自身の様々な場面を思い出していきます。 その様々な場面で、自身が感じたそれぞれの想いを、大人になったタエ子も同じように再度感じていきます。

そしてその想いを感じながら、大人のタエ子は、子どものタエ子自身を受け入れて、一緒になろうと試みていってるのでしょう。 嫌だと感じた感情も、すべて受け入れていこうって、それを総合して伝えたかった映画なのだと思います。 それが観る人の心に刺さり、自身のことを嫌いになんて、ならないでいいんだよ、と温かく包み込んでくれるような映画なのだと思います。

最後の場面はほんとに必見です。 この映画1本が、あなた自身の人生となるような、そんな沢山の想いが入った映画です。


この映画に関わった人

原作:岡本 螢 ⋅ 刀根夕子

脚本・監督:高畑 勲

製作プロデューサー:宮﨑 駿

音楽:星 勝

主題歌:都はるみ

声の出演:今井美樹 ⋅ 柳葉敏郎

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最後に

まだこの映画をご覧になってないあなたは、是非是非、「おもひでぽろぽろ」ご覧になって観てくださいね。 上映時間は120分も満たない短い映画なので、さっとご覧になれると思います。

しかし、中身はぎゅっと色々詰まった濃い映画です。 あなた自身の子どもの頃を一緒に思い出し、観終わったころにはとても温かい気持ちになれると思います。 今日もお読みいただきありがとうございました。