音楽と脳 PartⅡ
前回と同じく音楽と脳について記事をUPしました。今日はパート2となります。今日は音楽に加えて、音、についてもお話してきたいと思います。
音楽と脳の関係性について研究した人
音楽と脳の関係性について研究された人はたくさんいますが、代表的な人物としては以下のような方々が挙げられます。
- ロバート・ザトーレー
カナダの脳科学者で、音楽による脳の報酬系の活動や音楽の感情的効果について研究しています
- アナー・パテルー
アメリカの心理学者で、音楽と言語の関係や音楽の認知神経科学について研究しています。
- ゴットフリート・シュラウガー
オーストリア出身の脳科学者で、音楽家の脳の構造や機能の特徴や音楽療法の効果について研究しています
- 田中昌司
日本の脳科学者で、音楽家の脳の発達や音楽の創造性について研究しています 。
脳科学者の中野信子氏の音楽に対する想い
中野信子氏も音楽と脳について研究されています。彼女は、「音楽は、副作用のない薬のようなものだ。知らず知らずのうちに追い詰められ、誰にも助けを求められないうちに命を手放さざるを得なくなるまでになって沈んでいく人にも、特別な処方箋がなくとも届けることができる」 ということを伝えています。
涙の出る言葉ですね。音楽でもって、人を救えることを伝えています。相手に歌声を届けたり、音楽を届けたりすることで、相手が癒されたら、それだけでもこちらも癒されますよね。
ピラミッドは音から作られた
不思議な話になりますが、ピラミッドは、なんと、音により作られたのではないかともいわれています。世界で最初にピラミッドが作られた時期は、紀元前27世紀ごろと考えられています。ジェセル王の墓として作られたピラミッドがその最古のピラミッドで、階段状に層を積み重ねた階段ピラミッドと呼ばれる形式で、高さは約62メートルです。
世界中のピラミッドのどれもが音により作られたものかどうかということまでは分かりませんが。紀元前27世紀は、エジプトで最初のピラミッドが建造されたり、中国で黄帝が中原を統一したり、インダス文明が発展したりと、世界各地で歴史的な出来事が起こった時代です。紀元前27世紀とは、西暦による紀元前2700年から紀元前2601年までの100年間を指す世紀です。
今から約4724年前のことになります。フルートの楽器が、4万年前から存在したと言われていますので、音によりピラミッドを作ったとされる説は、間違いではないかもしれません。
東京大学国際高等研究所の大黒達也氏
「音楽と脳について」 研究論文から、興味深いことが書かれてました。
- 音楽の神経が学派、30年余りで急速に発展してきている。
- 人の本質を理解する上でも重要な鍵となる。
- 人の一般的な行動、情動、学習、社会コミュニケーションなど多くの脳機能と密接に関与している。
- 音楽の起源を辿ると、なんと4~5万年まえに、既に世界最古のフルートがあったとされている。
- 人類は紀元前3~4千年頃の文字を生み出すはるか昔より、音楽を創造していた。
- 当時の人々は、音楽を脳ではなく、「宇宙の創造物」と信じていたそうです。
- 現代の音楽用語でも使われている、「ハーモニー」という言葉は、宇宙普遍的な調和「ハルモニア」に由来していて、その後、フランスの作曲家ラモーらによって、音楽の和声(ハーモニー)という意味でも用いられるようになったそうです。
- 現代の音楽の最も基礎となる音律や理論を作ったのは、紀元前500年頃の古代ギリシャの数学者、哲学者ピタゴラスとその学派。ピタゴラスから始まり、その考えを受け継いだ、プラトンやプトレマイオスらの多くの学者は、音楽を3つに分けた。一つは、人間が奏でる「器楽の音楽」二つ目は、人体の機関や臓器が発し、耳では聴こえないとされる「人間の音楽」、3つ目は、「宇宙の音楽」
- 音を聴いていると、音により、心が落ち着くという時もある。雨の音や波の音、風の音。この自然美をみんなで分かち合うために人間は、「音楽」という自然美を解釈し、音楽へと変換したのは、脳を持った人間。
日本語と音について
音と関連する言葉について、そして私たちが使う日本語についても、少し触れたいと思います。日本語の発音は、英語圏の人にとっては難しく感じることもあるようです。日本語の音素(発音の最小単位)は24音素ですが、英語の音素は44音素あります。日本語には母語にない発音がある場合もあります。
例えば、英語圏の人は「ア」と「イ」のような母音が続く発音が難しいと感じることがあるようです。また、中国語や韓国語の人は清音と濁音の違いを聞き分けることが難しいと感じるようです。このように、外国人にとって日本語の発音の難しさは母語によって異なりますが、私たち日本人が単純だと思える日本語でも、外国人にとっては難しく思えたりするようです。
音素は、言語学や音韻論において、音声学的な違いはどうであれ、母語話者にとって同じと感じられ、また意味を区別する働きをする音声上の最小単位となる音韻的単位を指す言葉です。例えば、日本語では「か」と「が」は音素の違いによって意味が変わりますが、「か」と「か」は同じ音素として認識されます。音素は、音声記号という特殊な記号で表されます。
音素は、音声とは異なり、話者の心の中にある抽象的な概念です。このようなことからも、日本語も単純でありながら、話者の心の中を反映する抽象的な概念を持っていることから、奥深いものだと思われます。
終わりに
大黒達也氏の論文の中の、「自然美を解釈し、音楽へと変換したのは、脳を持った人間」というのが興味深いです。確かに、動物が、楽譜を作ったり、演奏したり、するっていうイメージが全く浮かびません。
猿1匹が太鼓をポンポン叩いて独奏することはあっても、猿2匹、3匹でオーケストラ、合奏するなんて、予想がつきません。音楽を生み出したのが人間だとすると、人間の脳って、やはり、脳そのものが、茂木健一郎氏が言ってるように、「脳はハーモニー」という風にも取れますね。脳と音楽は、切っても切り離せないものなんですね。
そして、音楽と関わり続ければ続けるほど、人間性も高めていけるのかもしれませんね。中野信子氏の言うように、「音楽は人とを結びつけ、人の心を繋ぐ」と言っています。しかも、音楽って、外国語の曲であったとしても、言葉の意味が分からなくても、聴いていて心に響いたり何かしら感じさせられるものがあります。世界を繋ぐのも音楽なんでしょうね。
集中力を高め、人の心を安んじ、判断を賢明にさせ、幸福度を上げる。脳は音楽にそれほど反応するものなのだ」 音楽は一瞬にして脳の状態を変化させるのですね。落ち込んでいても、好きな曲を流したら元気になれるし、また自ら流さなくても、外で誰かが流してる音楽や、演奏しているのを聴いたら、穏やかになれ、和やかになります。音楽、言葉など、音は改めて、興味深いことが分かりました。